「三寒四温」の正しい使い方

もうすぐ春・・・
という頃になると、決まって芸能人のブログには「三寒四温」という言葉がよく使われています。

私

この時期は三寒四温やって言うけど、全然暖かくならんなぁ。

妻

そういやニュースキャスターも三寒四温って言うてた。

私

そうやろ？
三寒四温って春先のことを言うんやろ？

三寒四温というのは、寒い日が３日ほど続くと、その後には暖かい日が４日ほど続き、少しずつ暖かく春に近付いていくという春を表す季節の言葉として使われているようです。

でも、この使い方は、実は間違いだったのです！！私も含め多くの芸能人も誤った認識をされてるようですよ。そこで今日は
　
三寒四温の正しい使い方について学ぼう！！
　
というテーマで必死に調べてみました。これを読んだあなたは芸能人のブログを読んですぐにツッコミを入れたくなることでしょう。（笑）
　

三寒四温は冬の季語？

春先の暖かくなっていく様子を表す言葉として三寒四温という言葉を使いたいですよね。よくわからない歌をYouTubeで発見したのでちょっと見てみましょう。

題名が「三寒四温」ということですが、春っぽい歌詞になっていますよね。でも、この使い方って間違いなんです。
　
実は、「三寒四温」という言葉は冬の季語なので間違えないようにしてください。俳句の季語としては「晩冬」の季語です。

元々「三寒四温」という言葉は中国北東部や朝鮮半島北部で使われた言葉です。つまり、中国北東部や朝鮮半島北部というと、日本の気候とは違ってかなり寒い地域です。

冬はシベリア高気圧の勢力が強く、寒い地域ですね。そのシベリア高気圧の勢力の周期が七日周期、つまり3日寒く4日温かいという感じで強まったり弱まったりするというところからできた言葉だったのです。
　

現代日本の三寒四温

川端康成は舞姫の中で、
「三寒四温の温に向いたか、近ごろになく、小春日和になりそうな、朝でもあった。」
と三寒四温を晩冬を表す季語として使っています。
　
しかし、現代日本においては、三寒四温という言葉自体が冬のイメージではなくなっていますよね。殆どの人が春先に使用しているイメージです。では、どうしてそのようになってしまったのでしょうか？
　

現代日本において、語源となっている中国北東部や朝鮮半島北部と同じような気候というのはなく、大陸の気候のようにはっきりと七日周期で気候が変化するということもなかなか実感することができなません。
　
つまり、本来は冬の終わり頃（晩冬）の季語として使用されていたのですが、日本の場合は立春を過ぎた頃の低気圧と高気圧の周期が似ているということで、春先の季語として少しずつ使われ始めました。
　
春先に低気圧と高気圧が交互にやってきて、少しずつ温暖な気候に変化していく様を表す言葉として使われ始めたのです。今ではそちらの方が定着しつつあるようです。
　
定着しつつある・・・

私

ということは、三寒四温を春先に使うというのも間違いではないってこと？

その辺りについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
　

三寒四温は借り物の季語だ

三寒四温という言葉の本来の使い方は晩冬の季語ですが、現代日本では春先を表す言葉として使われることが多くなってきています。
これを踏まえて、俳句界では
　

　
という意見も出ているとのことです。言葉と言うのは時代と共に変化するということをよく耳にしますが、三寒四温についても同様なのかもしれませんね。
　

まとめ

本来、三寒四温という言葉は晩冬を表す季語です。
　
これは、元々大陸の気候に合わせて作られた言葉であり、日本で季語として使用すること自体に無理があるのではないかと考えますが・・・
　
まして、最近では春先の季語のような使い方をする人が非常に多いのも事実です。言葉は文化とはよく言われますが、三寒四温と言う言葉も、今後は本来の使用方法ではなく、春先の季語として使用することになっていくのかもしれませんね。
　
言葉が少しずつ変化していくのは仕方がないことだと思っています。昭和初期の言葉すらわからないという場合もありますよね。
　
らぬき言葉なんかもその象徴ではないでしょうか。同様に、三寒四温も徐々に変化し、春先の季語として使用されるようになるという可能性が否めないでしょう。

私個人的には正しい言葉の使い方を残していくべく、今後も晩冬の季語として使いたいと思います。